新型コロナ渦にある札幌では、観光の関連産業が打撃を受け、依然として不安な状況が続いています。インバウンドだけでも350万人といわれていますから、その殆どが消えることになった新型コロナ禍は、札幌観光にとって大打撃そのものです。

国内旅行はGoToトラベルで回復に期待が掛かりましたが、感染者数が増加し始め医療崩壊のリスクが高まったことから、現状は緊急事態宣言の再来を思わせる雰囲気。札幌はGoToトラベルからの除外が決まっているので、札幌の観光の関連産業だけでなく、街中の飲食店すら諦めのムードです。一方、1971年に北海道厚生年金会館の名前で開館、芸文館の名前でも知られるさっぽろ芸術文化の館は解体が進んでいます。
北海道で最大規模の客席数を誇るホールを備え、宿泊施設や会議室としても幅広く利用されてきた歴史があります。音楽事業を中心に約47年のあいだ市民に愛され続けましたが、老朽化もあって2018年に閉館、2020年の3月から取り壊しが始まっています。新型コロナ禍がなければ、解体工事も観光の目玉として観光客を呼ぶ切っ掛けになったと思われます。
しかし札幌観光がボロボロの現状では、観光客を呼ぶ材料どころか寂しさを増幅させる要因になっているといえるでしょう。床板は木製品として蘇り販売が行われているので、完全に解体されても思い出は残りますし、寂しさはいくらか紛れるはずです。とはいえ、札幌観光が元に戻るには最低でも3年は掛かると見られていますから、当面の間は現状のまま新型コロナ渦と付き合っていく必要がありそうです。
自由に街を出歩けない、それだけでもストレスが溜まるものですが、旅行好きな人にとっては観光の楽しみが奪われることにストレスを感じるでしょう。鉄道はJR北海道を筆頭に赤字に転落していますし、人の移動が激減していますから、廃業に追い込まれる宿泊施設やお店も少なくないです。気温の低下でコロナが猛威を振るうと夏の時点で予想、喧伝されてきましたが、実際にそうなれば一足先に冬を迎える札幌にとっては踏んだり蹴ったりの二重苦三重苦です。
札幌の観光資源といえば雪ですから、毎年2月上旬に開催される雪まつりの客足も不安要素です。当然ながら会場近辺のお店も観光客に頼っているところがあるので、その客足が途絶えれば打撃を受けるのは必然です。2021年の雪まつりは雪像を作らず、規模を縮小して開催する予定ですから、今までで最も寂しい雪まつりになりそうです。